今、私は夕日に照らされた道路を歩いている。


「今日も疲れたなぁ…」


ぐぐっと伸び、大きなあくびをする。


私の名前は小坂アミ。

今時珍しいカタカナの名前だ。

そして、この春入学したばかりの高1。


「早く帰って、ご飯作ろっと。」

ココン、ココンと新しいローファーを鳴らしながら、スキップで家に向かった。





「たっだいま〜!」
「おかえり、アミ。」



お母さんはニッコリ微笑んだ。



「お母さん、今日はシチューね!」
「あら、アミのシチュー?お母さん大好き!」
「へへっ。待っててね。」



私はカバンを放り投げた。



「コラ、カバン大事にしなさい!」
「ごめんなさい。」


これで何回目だろ…

学習しろ自分。

緑のエプロンをして、キッチンに立った。



そして、2時間後。


「出来たよ、お母さん。」
「ありがとう。美味しそう!」
「さ、食べよ!」



お母さんと声を揃えていただきますを言った。

お母さんは幸せそうにシチューを食べている。

この時間が1番幸せ。

お母さんが私の料理を食べる顔が可愛い。


「ごちそうさま」
「お粗末様!」



お母さんは、明日早いから寝るね。と言い、リビングを後にした。

私は食器を洗い、お風呂に入ってその日は寝た。









夢を見た。

小さい女の子が膝を抱えて泣いている。

「どうしたの?」

誰か分からない声がした。

「ママがね…いないの…」
「迷子なの?」
「違う…死んじゃったの…」


ー死ー


死は怖い。
死ぬのは寂しい。
死にたくない。

「…死んじゃったんだ…でも大丈夫。
あなたにはたくさんの友達がいる。」
「いないもん…」
「これから出来るよ。」







「っわっ…」


起きると、私は汗ビッショリだった。


「リアルだったなぁ…」


お母さんはもう出たかな。


私は布団を跳ね除け、制服に着替えた。