「でも、その子2年生なんでしょ?」
つけまつげを付ける繊細な作業に入ったので「んー」と上の空のような返事になってしまった。
「だったら、来年までの辛抱じゃん」
皐月は既にメイクを終えて、着替えを始めていた。
「こんなに1年が長いと思ったことはないな」
「あまり関わらなければすぐだよ。担任ってわけでもないんでしょ?」
「そうなんだけど」
歯切れが悪くなると、皐月は手を止めて首を傾げた。
「隣なんだよね。部屋」
「えー!?お隣さん?高校生が1人暮らししてるの?」
「そうみたい」
思えば不思議なことではある。
結城君の実家からうちの高校まで通えない距離では決してないのにわざわざ1人暮らしをしている理由。
思い出したのは朝、玄関先で昨日知り合った女とキスをしていたこと。
あの悪びれも無い態度は常習犯に違いない。
まさか、そんなことが理由で?
あー、わからない。結城君が全然わからない。

