演劇部に顔を出すと、必ず伊丹先生がいるようになって、部員にはわからないように嫌味を言ったり、職員室でも周りには気づかれないように上手く私にだけ聞こえるように言っていた。
本番が近いから演劇部の方に力を入れ始めたのかもしれないけれど、私に小言が言いたいが為に顔を出すようになったと疑わざるを得ない。
伊丹先生の嫌味に屈しず、ついに私の担当分の衣装が出来上がった。
もう1人の衣装係の部員はあと1着を残すだけでもう大丈夫だと言っていた。
「本当に本当にありがとうございました!」
「本番、見に来てね」
「絶対、成功させますねー」
部員達がそれぞれ私にお礼などの声をかけて、私も一つ一つに言葉を返した。
「これ、舞台のチケットです」
部長がチケットを2枚差し出しながら、「結城君の分も」と言った。
「柏木さんには、後輩が渡してくれるので、結城君のはお願いしてもいいですか?」
結城君に自分から話しかけに行くのは正直気が引けるけど、そんなことは言ってられない。
「わかった。楽しみにしてるね」
すぐに笑顔で返すと、部長が返した「頑張ります」という言葉に強い気持ちがこもっていた。
本番は今週末。本当にギリギリの完成になってしまったけど、清々しい気持ちだ。

