「煙草を吸い始めたきっかけは何だったの?かっこ良かった?友達が吸ってたから?」
「そんなんじゃないよ」
「じゃあ、どうして?」
「煙草は俺にとって、鎮静剤みたいなもんだから」
「イライラしているのが収まったりするのは、一種の麻薬効果だよ」
「知ってるよ。それでも、俺には必要だったんだよ」
自分の腕に顔を半分うずめ、伏せ目がちになったせいで長いまつ毛が影を落とした。
その悲しげな横顔を見ていると、胸が締め付けられるようだった。
たった17歳でこんな寂しそうな顔をするなんて。
「結城君・・・」
「返してくれる?」
「・・・それは、やっぱりできない」
「ちっ・・・」
はい・・・?
舌打ちしました?今?
「泣き落としにも引っかからないなんて、精神強いね、先生」
こ、こいつっ・・・!!
「今の全部嘘だって言うの!?」
「うん。そうだよ」
当たり前だ、と何の悪びれも無く頷くとわざとらしい大きな溜息を吐いた。
「最っ低ねっ!!」
「やっと、わかったの?遅いよ」
唇を噛み締め、眉間に皺を思い切り寄せて私の最大限の睨み顔で結城君を見つめる。
「面白い顔」
「うっさいわ!!」
「教師らしくなくていいね、それ」
結城君の言う通りだ。
結城君に翻弄されて、教師らしくありたいと思う部分を簡単に剥ぎ取られてしまう。
演劇部のことも伊丹先生とのこともあるし、もっと、しっかりしなくちゃいけないのに。

