結城君はおもむろにスエットのポケットから煙草の箱を取り出して、トントンと天面を叩いた。
私は慌てて、結城君の手からその箱ごと奪うと不機嫌そうに私を睨みつけてきた。
「諦め悪いなぁ」
「そっちこそ」
「返してくれない?」
「ダメ」
「返せってば」
伸びて来た結城君の細腕を交わして、少し距離を取ると結城君は流石に諦めたようだ。
「別にさ、どうでもいいじゃん。俺が学校の外で何やってても」
「生徒は外に出ても生徒なんだから、悪いことしてたら叱るのは当たり前なの」
「もう、先生のそれ聞き飽きたよ」
「心には残ってくれているようで、良かった」
「好きで残してるわけじゃないし」
ベランダの縁に両腕を重ね、その上に顎を乗せて口を尖らせ、分かりやすく不貞腐れている。

