放課後にまた、微調整を施した衣装の最終チェックを行う為に演劇部に向かった。
着用する生徒を呼んで着替えてもらい、キツイところがないか、逆にゆる過ぎる箇所は無いか、衣装の強度はどうか、など確認をした。
修正箇所をメモしていると、部室のドアが遠慮がちに開かれて「伊丹先生こんにちはー」という部員の声にびくり、と反応した。
「あと2週間だけど、どう?順調に進んでる?」
ロングスカートをなびかせながら部員たちの顔を見回し、最後に伊丹先生の切れ長の目が私を睨み付けたように感じた。
「はいっ。芹沢先生のおかげで、衣装も間に合いそうです」
「そう。助かったわ、芹沢先生」
白い肌に異様に赤い薄い唇が印象的で、その口角が一瞬だけ上がったかと思うとすぐに今まで通りの無表情に戻ってしまった。
「いいわね、若い先生は。まだこういった作業をできる余裕があるんですから」
ぼそぼそとした話し方で上手く部員には聞こえないように牽制してきたことを感じて身構えた。
「どうせなら、代わってくださらない?演劇部の顧問。兼任なんて、忙しくって仕方がないの」
「依頼とあれば、喜んで引き受けますよ」
「あら。じゃあ、本格的に教頭先生にお願いしてみようかしら」
ふふ、と不気味に笑う声に寒気がした。

