「おはようございます、芹沢先生」
「おはよう、結城君」
窓から差し込む日差しを受けてか、結城君の爽やかな笑顔が輝いているように見える。
この笑顔も嘘か?
柏木さんにほどかれた気持ちを一気に引き締める。
「具合はどうですか?」
「もう平気。ありがとう」
周りに人がいる時仕様とそうじゃない時仕様とでは、きっちり言葉遣いも表情も分けてくるので、私の方が戸惑ってしまう。
「そうですか。それは良かった」
言いながら、結城君は堪えきれずに出た欠伸を噛み締め、それを手で覆った。
「眠れなかったの?」
「キリが良くなるとこまでやろうと思ったら、結構な時間が経ってて・・・。若干寝不足です」
「無理しないでよ?私に任せてくれればいいんだから」
「無理してるつもりはありませんよ。演劇部の為ですからね」
キラキラ〜、という音が聞こえてきそうだった。
幻聴を聴きそうになったところで、ちょうど私達の横を通過した女子生徒2人が小さく黄色い悲鳴をあげた。

