やっと笑いの波が収まってきた結城君は平然とそんなことを言う。
何がそうなって、こうなったのかわからないけど、可愛いと言われたのが久しぶり過ぎて恥ずかしくなった。
「か、からかわないでって言ってるでしょ!」
「別に、からかってないよ。本心で可愛いって思ったんだから」
「やめてよ!可愛いなんて、馬鹿にされてるみたい」
「してないよ。全然、してない」
さっきまで、子供のように腹を抱えて笑っていたくせに、急に大人びた顔をしないでほしい。
「弱音を吐かない先生はかっこいいかもしれないけど、発散しないと今日みたいにどこかがおかしくなっちゃうよ?」
それについては、すみません、と謝り続けるしかない。
「同盟組んでるうちは先生の味方だから、俺。苦しくなったら遠慮せずにおいで?」
意味深に笑う結城君が玄関を出て、ドアが完全に閉まると深く溜息が漏れた。
結城君と話していると、常に緊張から解かれない気がする。
突然子供のように笑って可愛いって言ってみたり、大人びた顔で女を口説くように誘ってみたり、
結城君の考えていることが、私には全く理解不能だからかもしれない。

