着替えているところをまじまじと眺めているのはおかしいかと思って、視線を逸らすと、結城君がシャツを着る布擦れの音が微かに聞こえてきた。
「やること教えてもらったし、帰るよ」
結城君は型紙と布地を入れた紙袋を手にすると、慣れた足取りで玄関へ向かい、ローファーのつま先で床を叩いていた。
「じゃ、今日はこのまま寝てよね。また倒れられても困るし」
「ご迷惑をお掛けしました・・・」
「ほんとにね。1人で抱え込むことが周りへの配慮だと思うのは間違いだよ。弱音吐きたくなったら聞いてあげてもいいし」
これが結城君が見せる優しさなのだろうか。
「生徒に弱音を吐くなんて」
「吐くなんて?」
「・・・かっこ悪い」
掠れ声で呟くと、結城君が突然噴き出して笑い始めたので唖然としながらその光景を眺めていた。
「な、何?何で笑うの?」
「んー?だってさ・・・」
結城君がこんなに無邪気に笑っている顔を初めて見た。
いつも、憎たらしい笑みばかりだったのに、こうしてみるとやっぱりただの高校生だ。
「可愛いところ、あるんだね」
「かっ・・・、かわっ!?」

