結城君には私の趣味がバレているけど、部屋が汚いことまではまだバレていないはずだ。
慌てて部屋に駆け込んで、朝のコーディネート時にボツにした脱ぎ捨ててある服を片付け、起きた状態のままめくれた布団を直す。
床に散らかった漫画や雑誌は本棚にしまって目隠しのカフェカーテンを閉めた。
コロコロをあっちこっちで転がして、部屋の入り口に立って周りを見回して「まぁ、これなら」と及第点を出してからドアの鍵を開けた。
「どうぞ?」
「今更潮らしくしなくてもいいよ。慌てて片付けでもしたんでしょ?」
「ちっ・・・」
「舌打ちした」
「してません」
動揺していたせいで、本音を留める能力が低下し、生徒の前であろうことか舌打ちしてしまった。
否定はしたけど、結城君は全然信じてない。
「間取りが俺のとことは逆なんだね。変な感じ」
靴を脱ぐと、キッチンのある廊下をキョロキョロと見回しながら私の後ろをついて来る。
「あんまり、見ないでくれるかな」
「ボロが出る?」
いちいち、突っかかるようなことを言う。
そして、私の反応を見ては笑うのだろう。
そうはいくものか、と今度は本音を押さえ込んで、眉根がぴくり、と動くだけに留まった。

