どうやら、誰にも会いませんように、という私の願いは叶ったようで、ありがとう神様、なんてお礼をしているうちに保健室のベットに私は横たえられた。
「鍵が空いてるならすぐに戻ってくるでしょ」
不在の保険医を一緒に待とうとしてくれているのか、結城君がベットの横にあった丸椅子を引きずる音が響いた。
「まだ継続してるの?穴に入りたい病」
私がうつ伏せに寝返りを打ったのを見て、結城君は小さく笑う。
「ごめんね。生徒に迷惑かけて、教師失格だよね」
「先生はさ、教師とか生徒とかこだわり過ぎなんだよ。倒れる前に俺に言ってくれればいいのに。俺が生徒だから言えなかったの?」
誰かに相談しようなんて、思ったことが無かった。
生徒が教師に相談するのは普通として、逆パターンなんてあり得ないと思っていたし、それが当たり前のことだったからだ。

