紙袋を職員室の自分の机に置くと、丁度野球部の指導を終えて帰って来たユニフォーム姿の浪川先生が目を丸めた。
「何ですか?その荷物」
「演劇部のお手伝いを少々任されまして・・・」
「芹沢先生はまだ顧問をお持ちじゃなかったんですよね?」
「生徒会に頼まれたんですよ」
口の開いた紙袋の中身をなるべく自分の体で隠しながらできるだけ自然な振る舞いになるよう、微笑んだ。
「部活にもきちんと気を配れるなんて、生徒会長が結城になってから、学校の雰囲気は格段に良くなってますね」
「は、はは・・・」
彼が本性を見せたら率先して雰囲気悪くさせそうですけどね。
どうしても作り笑いしか浮かべられずに、笑い声も感情を込めることができなかった。
本当の結城君は利益のことばかり考えていて、多分あらゆる結城君の行動が計算しつくされているんだと思う。
学校の雰囲気が良くなった背景に、何らかの結城君の思惑が潜んでいるんだろうと勘ぐらずにはいられない。

