「看病してもらったのは助かったけど、気まぐれに優しくするならほっといて」
「気まぐれ、って・・・、結城君が3日も休んだり、繁華街うろついたりしてるって聞いたら心配になるじゃない」
「そういうのだよ。あと1年もしないうちに俺は先生の生徒じゃなくなるんだから、あと少しほっといてくれればいいんだよ。心配とか笑える」
鼻で笑うので、結城君の肩を両手で掴んで無理矢理私の方に向ける。
「人が人を心配して何が悪いのよ。こういう衝動は抑えられるもんじゃないんだから、黙って心配されてよ」
結城君が下から私の事を睨み付けるので、私もそれに負けじと視線を晒さないようにする。
そして、先に視線を逸らしたのは結城君の方だった。
「下手くそ」
「え・・・?」
「下手なんだよ。突き放すなら徹底的に突き放さないと意味が無い。俺が先生の事を諦めるように虚勢張ったんだ、ってわかってたから、一応乗っかってあげたのに、結局は突き放しきれないんだから」

