スポーツ飲料とゼリーが入った袋をドアノブに括り付け、立ち去ろうとすると背中でドアが開く音がした。
「・・・せんせ、か。何・・・?」
マスクで顔が半分隠れているけど、虚ろな瞳は思ったよりも症状が悪いことを物語っていた。
「あ・・・、体調悪いって聞いて、飲み物とか買って来たんだけど」
「ああ・・・、そっか」
ドアにもたれ掛りながら、ドアノブに括り付けられた袋を見下ろした。
「大丈夫・・・?」
括り付けた袋をほどき、結城君に差し出しながら、大丈夫では無いことが明白なのにとりあえず訊いてみる。
「あんまり・・・」
「だよ、ね」
結城君の手に袋を持たせてみたけど、500ml×2本の重量さえ支えることができないのか、ごとり、とアスファルトにそのまま落下した。
「・・・ごめん、ほんと、ヤバイんだ・・・。戻って、いい?」
そう言いながら、結城君は玄関先の壁にもたれ掛ってそのままずるずると尻を付けて咳き込んだ。
「戻れる?」
「ん・・・、這えば何とか」
「肩、貸すよ」
「ありがと・・・」
結城君の腕を自分の肩に回すと、服越しにでもすぐに熱が伝わってきた。
足と腹筋に力を入れて、半分引きずりながら短い廊下を歩いて部屋のベットに結城君を転がした。
そして、玄関に落としたままの袋を掴んでスポーツ飲料のキャップを捻る。
「水分摂った方がいいよ。少しでもいいから、飲めない?」
手を貸しながら結城君の上体を起こさせて、マスクも外してもらってスポーツ飲料を結城君に握らせる。
危なっかしい結城君の手元を支えながら、口元に持って行くとゆっくりとではあるけれど、確実に中身が減って行き、少し安堵した。

