擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~



数学を始める前の出席確認で1人ずつ名前を呼ぶと、気怠げな返事や快活な返事、クラスメイトを笑わせようとするふざけた返事など様々だ。

「結城君」

生真面目な返事は返って来ず、結城君の席に視線を向けると、そこは空席になっていた。

「結城君なら、今日も体調不良でお休みですよ」

「あ、そうなんだ」

出席簿に「欠」と書き加えて、次の生徒の名前を呼んだ。

「欠」の字を結城君の横に書くのは3日目だった。





帰宅途中にあるスーパーに寄って、今日の夜ご飯を惣菜コーナーで選ぶ。

既にほとんどのパック弁当には値引きシールが貼られていて、それを眺める客層もサラリーマンやOLなどお勤め帰りが多い。

カロリーを気にしながら、野菜多めの弁当をカゴに入れて、アルコールコーナーに向かう。

冷蔵庫のビールが切れていたはずだから、買い足しておかないと、といつもの6缶パックに迷わず手を伸ばす。


そうだ、結城君。大丈夫かな。


同じ並びにあったソフトドリンクコーナーでスポーツ飲料も2本買って、ゼリーのカップ数個もカゴに入れた。

一人暮らしで1番困ることは、自分が病気の時に看病してもらえる人がいないことだ。

食糧や飲み物だって買いに行ける状態で無い時は、空腹に耐えながら眠るしかなかったことを思い出す。


それらをレジで精算し、階段を上がって結城君の部屋のインターホンを押す。


反応無し。

寝てるのか?

まあ、それならそれでいい。

正直なところ、夜にクラブに出入りしているという噂も気になっていたから、無事な事を確かめたかったのはあるけれど、仕方ない。