「それに、噂もあるんですよ」
「噂?」
首を傾げると、美原先生は周りを確認して声を潜めた。
「結城君が夜中にクラブに出入りしてるって噂です」
「え・・・」
「まぁ、ただの噂ですけど。良く似た子だった、ってだけじゃないですか?あの結城君がそんなとこにいるわけないですし」
いや・・・、それはきっと、結城君だ。
文化祭で出会った友達は、クラブを出入りしていた時に知り合ったと言っていた。
今更、私の言葉を聞くとは思えない。
いや、聞いたことなんてないか。
煙草だって、結局辞めさせられなかったし。
「あ、それじゃあ、これから部活なので」
「いってらっしゃーい」
脱力気味に手を振る美原先生に会釈をし、職員室を後にした。

