擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


春の陽気が続き、桜の花びらが舞い始める。

新しい生徒達がやって来て、私はその1年生のクラスを任せられることになった。

春休みの間、生徒達に最初に何を伝えようか思考を巡らせ、何度も練習してきた。


教壇に立つと、今までとは違う景色のように思えた。

高校生活に期待を膨らませた生徒達が私の言葉を待ち構えている。


「入学おめでとう。今、皆さんの胸には不安や期待やいろんな思いが混ざり合っているでしょう。

これから3年間、ここにいる新たな友人と、もっとたくさんの気持ちを知ると思います。

その時は目一杯、笑って、怒って、泣いてください。

私は、皆さんが思い切り高校生活を楽しめるようにサポートしていきます」


暖かい拍手が返ってくると、内心ホッとした。

緊張して、正面の一点しか見ることができなかったから、生徒の表情が全く分からなかったし。