擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~



最後の授業を終え、職員室に戻ってくると、美原先生が伸びをしているところだった。

「お疲れ様です。今日の授業は終わりですか?」

「そうなんで、期末テストの問題作ってました。で、ちょうど休憩しようかなって思ってたところです。コーヒー淹れますけど飲みます?」

「あ、お願いします」


荷物を机に置いて、パソコンを立ち上げて起動するまで一息吐いた。

「落ち込んでます?」

コーヒーの入ったカップを私の机に置きながら、そのついでのように顔を覗き込まれた。

「ありがとうございます」

そんなに、わかりやすいかな・・・。

「失敗したんですか?」

「失敗・・・と言えば、そうかもしれません」

「アドレスの彼ですか?」

「違います」

即答して、ふと思う。

いや、違わない・・・と。

「じゃあ、新しい彼ですか?」

「どうして、恋愛限定なんですか?」

「だって、芹沢先生って恋愛ベタそうだから」

外れてないけど、失礼な人だな・・・。

「美原先生は得意そうですよね」

「そこそこには」

ニッコリ笑った美原先生を侮れないと思った。

美原先生のそこそこは、私が予想もつかない境地だろうから。


「3人の男が私を取り合ったこともありますよ」

聞いてないけど、美原先生の武勇伝をもう少し深掘りしたくなる気にはなった。

「それで、誰を選んだんですか?」

「テスト方式です」

「は・・・?」

「ルックス、性格、年収、エトセトラ。総合点が1番高い人を選びました」

「え・・・、この人が好き、とかじゃなくて?」

「好きなのは3人共でしたから、あとは持ってる物で判断するしかないじゃないですか」

ないじゃないですか、って・・・。

やっぱり、私の予測不可能な境地だった。