「今日、佐久間先輩のこと考えた?」
・・・そういえば。
目を腫らす程泣いて、辛いと思ってたのに、今まで佐久間さんのことを考えていなかった。
「暗示みたいになってるのかもねぇ」
「暗示・・・」
「ちゃんと、整理しときなよ。佐久間先輩と次会う時までにはさ」
「次があるかどうか・・・」
そう切り出して、昨日の事を報告した。
「うっわぁ・・・、最悪」
「佐久間さんの言い分ももっともだとは思うけど」
「もっともぉ?そんなことでいいの?佐久間先輩のせいで、これまで彼氏いない歴が続いてきたのに!?」
「彼氏いない歴は佐久間さんとは別問題じゃないかな」
「少なくとも人を好きになることが怖くなったのは先輩のせいじゃん。やめとけ、やめとけ。肇君に乗り換えちゃえ」
「声デカイし、飲み過ぎっ」
乗り換えちゃえ、ってそんなことはできないって最初から言ってるのに。
「生徒じゃなければ、ね・・・」
ぽつり。
自分で呟いた言葉を耳にして、慌てて首を振った。
生徒じゃなければ、何なんだ。
結城君が生徒じゃなかったら、好きになってたとか思ってるのか、私は。
テーブルに頬をつけて眠り始めた皐月を眺めながら、「どうしよ、皐月」と消え入りそうな声で問いかけた。

