「泣くつもりも無かったし、こんな情けないところ見せちゃったけど、私が結城君の先生であることに変わりはないんだから、応えられない」
「わかってたことだけど、面と向かって言われると傷つくもんだね」
それは、自分のことのような気がして、胸が痛んだ。
私もついさっき、同じことを思った。
「でも、これで引き下がるとは思わないでね?」
「は・・・?」
「覚悟しといてよ。俺、本気になったからさ」
ニヤリ、と笑って惚けていた口に軽いキスが落とされる。
「先生ってスキだらけだから、楽勝そうだなぁ、襲うのも」
「じょ、じょじょ、冗談じゃないっ!!」
「冗談じゃないよねぇ。生徒とキスした先生なんて、懲戒免職かも」
「そ、それを狙って・・・!?」
「そんなわけないでしょ。弱み握るためにしないよ、こんなこと」
「ほ、ほんとに・・・」
「だから言ったじゃん。俺は本気だって。バレたくなかったら、ちゃんと隠し通すことだね、俺との秘密」
クスッと笑って唇に人差し指をあてた。
とんでもない秘密を、私は共有してしまったようで・・・。
この悪魔、どうにかしてくれ。

