擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~



部屋に帰ると、すぐ様部屋着に着替えてビール缶を開ける。

そして、テレビを点け、作りかけだった次のイベント用のコスプレ服にミシンを当てる。

私にとって自分の部屋だけが自然体でいられる場所。

大好きなアニメを見て、次のイベントに向けたコスプレ服を作っている時が1番リラックスできる。

擬態化していることを結城君にバレてしまったものの、部屋の中でやっていることを覗かれるわけでもない。

一先ず今日に至っては、結城君が私の趣味をバラすことはしなかったみたいだ。

結城君が勝手に作った「同盟」に対して少しだけ真実味が増した。

結城君が優等生を装っていることだって、私が誰かにバラしたところで誰の得にもならない。

その点で言えば、私の方がバラされた時のリスクを考えると不利な気がする。

もしかしたら結城君は煙草以外にも不良行為を繰り返しているのかもしれない。

不安定な心境を持つ高校生の相談にのるのも教師としての役目だ。

見つけた時には私がしっかりと指導すれば済む話だ。