睨み合いの時間が刹那、流れる。
私にはとても長い時間のように感じた。
「あー・・・、やっぱ人違いだったわ。行こうぜー」
乱闘をも覚悟したけど、わりとあっさりクマの頭から手を離し、2人は去って行った。
2人の背中を呆然と眺めながら、徐々に周りの音が耳に戻って来る。
「ゆうき、くん・・・?」
隣にいるのは本当に結城君なんだろうか。
殺すよ、と何のためらいもなく言ったのは、人をからかってばかりいる結城君?
それを早く確かめたくて、でも少し怖くて、迷いながらも隣にいるはずの結城君を視界に捕える。
「ここで待っててください。アイス、買って来ちゃうんで」
視界に入った結城君は何も無かったかのように、教室の中に作られたレジでカップアイスを購入しに行った。
そうして、結城君が進むままに階段を上がった。
生徒会室の周りには人影が無く、文化祭で賑わう声が霞んだように聞こえてくる。
「もう脱いでいいかな?クマ」
「いいよ」
重いクマの頭を取ると、視覚も聴覚も鮮明になり、足を投げ出して座った結城君が苛立っていることに今更気付いた。
「はい。どーぞ」
どこにでも売っているようなカップアイス。
「ありがと」

