中身が誰かはバレていないだろうけど、賑やかな校内でもクマの着ぐるみは悪目立ちしている。
狭い視界ながらに、好奇の目に晒されているのをひしひしと感じるし。
「逆に目立つだけのような気がするんだけど」
やっぱり、デートなんて言って私をからかっているだけなんだろうか。
「看板は掲げといてくださいね。一応、自分のクラスに貢献中って体なんで」
何気なく素直に看板を掲げてから、ハッとする。
だんだん、結城君の要求をおかしいと思わなくなっている・・・っ!
洗脳されるな、洗脳されるな。
「看板」
「あ、ごめ・・・」
だから、洗脳されるなってば!
隣を歩く結城君は、周りを見回しながら、時には何かに目を奪われて、歩く速度がゆっくりになったりする。
結城君の文化祭を楽しみたいっていう本音には共感してあげたい。
そうだよね。結城君もやっぱり男子高校生だもんね、って思ったわけだ。
でも結城君の計算でしかないようにも思えてくる。
そう言っておけば私は同情するし、生徒や教師からは生徒会長やりながら自分のクラスにまで協力して、やっぱりすごいな結城君は、って思わせたいだけなんじゃないの?
いや、でも、結城君だって純粋に文化祭の思い出を・・・。
くそぅ・・・。
疑心暗鬼に陥りそうだ。

