「文化祭、俺と回ってよ」
「結城君と?・・・友達いないの?」
「馬鹿にしないでくれる?頼れて優しい生徒会長に友達がいないわけないでしょ」
自分で言うんだ、それ。
最早、尊敬に値するよ、その自画自賛っぷり。
「それで、どうしてクマなの?」
「別に犬でもウサギでもいいんだけど、顔隠せるのがそれくらいしか無かったんだよね」
「顔、隠す必要ある?」
「俺と噂になりたい?」
「なりたいわけないでしょ」
「じゃあ、それ着てね」
「着ないし、回らない」
「着るまで出してあげないから。それでも意地張るならどうぞご自由に?」
結城君はカーテンを開いて、空いた簡易更衣室を掌で示した。
何で、どうして、私が結城君の遊びに付き合ってやらなきゃいけないんだ。
着るまで出さないって、どんだけ自分勝手なの?
「口に出てるよ」
「不満が抑えられなかったみたい」
「バラすよ」
そうやって言えば、私が従うと思って・・・。
・・・でも、従うしかないんだ。
クマが何だ。
渡された茶色い服を見下ろすと、重くなった頭がズルリ、とズレた。
ほらね。ロクなことが起きないんだから。

