擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


生徒を全員収容し、しばらくしてから体育館の照明が落とされた。

舞台の背景に映し出された映像が終わると、舞台上だけ照明が点灯し、結城君が開会の宣言をする。

それに合わせて、生徒達の歓声や拍手が起き、その間に結城君と柏木さんが入れ替わりで壇上に上がった。

「司会は生徒会書記、柏木香苗が務めさせて頂きます」

巻き起こった拍手が収まるのを待ってから、最初の演目を紹介した。

舞台では生徒達のバンド演奏や吹奏楽、マジックショーなどが行われた。

そして、次に柏木さんに紹介されて上がって来たのは白いシャツに黒のスラックスとハットを身につけた5人の男子。

5人が配置について帽子を右手で抑えた状態で下を向く。

そのまま静止すると青い照明に変わり、ズンっと心臓に突き刺さる低音から曲がスタートした。

歌の無いその音楽に合わせて5人が見事なダンスとフォーメションで見ている生徒を魅了する。

中心の生徒はダンス経験者なのか、際立っているように見える。

結城君は右から2番目で指先まで綺麗に腕を伸ばし、高く足を上げ、華麗に回ってみせる。

流し目で観客に視線を向けるのは、天然なのか計算なのか。

どちらにせよ、高校生らしからぬ色気があるのは確かだ。