駅を出ると、それなりにあった喧騒が外に分散され、途端に周りが静まっていった。
「まだ、俺の質問に答えてもらってないんだけど」
それを見計らったかのように、結城君は笑みを蓄えて首を傾げてみる。
「質問?」
「誰としたの?デート」
まだ、継続中だったのか。執念深い。
「教える義務がある?」
「生徒の好奇心に答える義務は先生としてあるんじゃない?」
「勉強に対する好奇心なら喜んで」
微笑みながら私も冷静に返答する。
結城君は少し、面白くなさそうにしながら「ふーん」と呟いた。
「バラしちゃおっかなぁ、先生の秘密」
「っ・・・、そ、その手には乗らないから!」
「俺、本気なのに」
「だったら、私だって・・・!」
「バラす?」
突然、結城君は私の顔を覗き込む。
それが、あまりにも真剣な顔で二の句が継げながった。

