最初の難関はメニュー選び。
奇怪なカタカナが並ぶメニューを睨んでいると、佐久間さんが「目、悪い?」と笑ったので、慌てて「ナスとモッツァレラのミートソースで」と聞き覚えのある名前を言った。
「お酒は?何が好き?」
「え、何でも・・・」
「はは、何でも?」
動揺していたせいか、反射的に言ってしまったけど、これじゃあまるで焼酎でもビールでも何でもいけるって言ってるみたいだ。
その通りだけど、今はこの解答NGだってば。
「じゃあ、ワインにしようか」
私が頷くと、佐久間さんは目配せで店員を呼び、奇怪なカタカナを噛まずにスラスラ伝えた。
それにしても、こんなオシャレな空間、どうしていいかわからない。
シャンデリアモチーフの照明が柔らかく店内を照らし、木製の椅子や机は白いペンキで塗られていて、カントリー風でもある。
客層も私達と同じような若い男女が多く、幸せオーラが辺り一面に充満していた。
「キョロキョロし過ぎじゃない?初めて来た?」
「すみません。すごいオシャレだなぁって思って・・・」
「あまり外食しない?」
「家で済ませることがほとんどです」
「一人暮らしって言ってたよね。自炊してるんだ。偉いな」
「そんな、大した物は作れないんですけど」
私の作るものと言ったら、一品料理をドーンだ。
あとは酒のつまみになるようなもの。
オシャレな料理は一切作れない。

