「こんな時間まで生徒会?」
暗くなるのと同時に帰って行く外の部活の声はいつの間にか聞こえなくなっているし、入り口まで来ると、廊下の静けさが人の気配が無い事を表していた。
「文化祭が近いからね」
「そっか。うちのクラスもそろそろ何をやるか決めないと」
鍵を受け取りながら、去年は焼きそばを売っていたなと思い出す。
「熱心なのはいいけど、気を付けて帰ってね?」
「先生の方こそ。いつもこんなに遅いの?」
「まぁ、大抵は」
「ふーん。大変だね、先生も」
「これが仕事ですから」
「相変わらず・・・」
結城君が小さく笑うので、「何?」と訝しむと、「別に」とはぐらかされた。
人気の無かった廊下からパタパタと足音が聞こえてきて、「肇くーん」と呼ぶ声も加わった。
「鍵は?」
「今、返したとこ」
柏木さんが顔を覗かせて「あ、雅ちゃん」と相変わらずの呼び方で無邪気に笑う。
「何々?雅ちゃ・・・っと、先生は、まだ居残り?」
口を開きかけると、柏木さんは先回りして雅ちゃん呼びを言い直した。
最早、根比べみたいになっている。

