擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~



いざ・・・。

勢い良く起き上がり、その勢いのままLINEを立ち上げてID検索をすると、ヒットした。


佐久間 祥太


その名前を見ただけで、とくん、と小さく胸が高鳴った。

中体連のプログラムの選手名簿に書かれたその名前を見つけることが好きで、大事にとっておいたな、と記憶を巡らす。

見つけたものの、最初に何を送ったらいいのかわからない。

短過ぎず、長過ぎず。

できれば感じの良い言葉がいい。



こんばんは、芹沢です。
今朝はありがとうございました^_^
学校にも遅刻せず、間に合うことができました。



期待しないように、と思いながらもどこかで私は期待している。

この文章を送信したら、先輩と接点が生まれて、美原先生が言うように、デートするなんてことになるかもしれない。

中学の時にたくさん泣いて、吹っ切ったつもりでいたけれど、本当は単に心の中の箱にしまい込んで奥深くに追いやっていただけなのかもしれない。

先輩に再会して、その箱が開いてしまったのだとしたら・・・。

ゆっくりと、人差し指を画面の送信ボタンに下ろすと、私の打った文章が吹き出しと共に表示された。