擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


仕事を終えていつもの身なりに着替えると、鞄から今朝、佐久間先輩から貰った紙を取り出す。

携帯とその紙を並べて置いて、正座をした。

これで、私は本当に連絡していいものなんだろうか?

その日のうちに連絡するなんて、がっついでるように思われないだろうか?

でも、せっかく連絡ちょうだいって言ってくれたのに、すぐに連絡しないのは失礼なんじゃないか?


「わからん・・・」

ぱたり、と上半身を横に投げ出し、目を瞑る。

確かに、先輩のことは好きだったし、久しぶりに会ってもそのことを思い出し、性懲りも無くドキドキしていた。


中学の時、先輩にはしっかりフラれている。

だから先輩の連絡ちょうだい、はやっぱり懐かしい相手に偶然会ったから、という理由だけなんだろう。

それなら、私もそういう気持ちで望まなくてはならない。

中学時代の想いを引っ張って、期待するような気持ちは捨てなくちゃ。

そうじゃないと、また私はあの時のように酷く傷付くのかもしれない。