擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~



「正直、傷付くんだけど」

「じゃあ、もう、ああいうことしないって約束してくれる?」

「ああいうことって?」

傷付く、なんて言われたから譲歩しようと思ったのに、いつもの皮肉たっぷりな笑みで私の反応を窺っている。

「言わなくてもわかるでしょ」

「さあ?」

この〜っ!!憎たらしい!可愛くない!


「一応守る努力はしてみるよ」

「一応って何よ」

「守れるかわからないから、一応」

「何で、わからないの」

「衝動には逆らえないから?」

疑問形で訊かれても、結城君の心境なんて分かるはずもない。

「先生が俺の衝動を掻き立てるようなこと、しなきゃ平気だと思うよ」

「何よ、それ。・・・例えば?」

「知らないよ。だって俺、思春期の健全な男子高校生だもん」

何で、ここでその眩しい笑顔を使う?と思っていたら女子生徒が手を取り合って喜んでいる姿が横目に見えた。


あー、はいはい。

喋ってること、聞かせてやりたいわ、ほんと。