夏休みが明けてばかりの最初の授業は生徒達がまだふわふわと夢心地でいるので、なかなか引き締まらない。
出席簿を確認しながら、名前を1人1人読み上げる。
「結城君」
「はい」
名前を呼ぶと、結城君と一瞬目が合い、うっすらと笑った気がしてすぐに目を逸らした。
問題を解くよう指名した3人の中にいる結城君は相変わらず、優等生の結城君だった。
背筋を伸ばし、手本のような文字を黒板に書き出している。
少しも躊躇うこと無く、最初に書き終えると凛とした姿勢を保ったまま、自分の席に戻って行った。
相変わらず、完璧な解答だ。

