ひとしきり、結城君と格闘をしたけど写真を削除することはできずに私の微々たる体力が底をついた。
こっちは格闘をしていたつもりでも、結城君の方は闘牛士のようにひらり、はらり、と体を翻すだけだったので涼しい顏で「もうお終い?」なんてほざいてる。
「ほんっと・・・、やめてよ。何でそんなに私に構うの」
息を切らしながら情けない声で訴える。
私はただ単に、他の誰かになりすまして、強くなった気になるだけの自己満足な趣味でいいのに。
誰にも知られずに、ただ自分が楽しめるだけのそんな存在でいいのに。
「そうやって面白がって踏み入って来ないでよ」
コスプレする人が近くにいて、興味が沸くのはわかる。
偏見もあるし、気持ち悪がられてドン引きもされると思う。
それでも、別の誰かになれるということは、これまでの私を成り立たせるには必要なことだった。

