胸まで伸びた紫色のカツラを手櫛でほどきながら皐月が出てくるのを待っていると、横からカシャっとシャッター音が切られた。
ヤダな、勝手に撮るなんて。
その場から自然な動きで離れようとすると、「見っけ」と弾んだ声が呼び止めた。
嫌な予感がし、振り向くのを躊躇っていると、声の主が私の顔を覗き込んだ。
「先生でしょ?」
「ぎゃあっ!!」
私が奇声を上げると、結城君は耳を塞いで眉根を寄せた。
「酷いよね、先生。知らない土地に生徒を置き去りなんて」
「な、何でここがわかったの!?」
「大きな鞄とかキャリーバッグ引いてる女子の団体について来てみたら、ビンゴ」
確かに大きな鞄を持ってイベント会場のある駅で降りる子がいれば、同類だな、とは思うけど・・・。
恐るべし。結城君の分析能力。
「何でそこまでして付いてくるの!」
「ん?だって、完璧主義の俺としては、欲しかったんだもん」
「何をよ」
「証拠写真」
スマートフォン越しに私を確認し、ボタンを押すとシャッター音がまた聞こえた。

