「あなたは、ーーーーーーーーーーーー………」
春斗だよ。そう教えてあげようと口を開いた。
けれども言葉が喉の奥でつまって、声が出ない。
知らせてあげないと。あなたは、春斗なんだよって。
神崎春斗だよって。
笑顔が人懐っこくて。おもしろくて。不器用で。でも、誰よりも私を大切にしてくれたんだよって。
そんなこと、この人に教えて意味があるのかな。
この人は、春斗だけど、春斗じゃない。
「大丈夫?」
うつむく私の頭をぽんぽんっと撫でてくれる。
『さゆりはドジだからなーー!』
重ねてはいけないのに。違うのはわかっているのに。
あなたではないあなたに重ねてしまう。

