「春斗!!」
止められなかった。考えるより先に体が動いていて
気づいたときにはもう寝ている春斗を強く抱きしめていた。
抱きついて、ぎゅって抱きしめて、春斗の存在を感じる。
「春斗、良かった。春斗……」
「ここ、どこ?てか、誰?」
酸素マスクを外した春斗が私の身体を少し押す。
何て言ったのか、よく理解できなくて、春斗の顔をじっと見つめる。
「私、さゆりだよ?わからないの……?」
「さゆり……?」
春斗が怪訝な顔をする。
きっと、起きたばっかりだから、記憶が混乱してるのかな。
平然としないと。陸斗くんも、隣にいるんだから。
頭ではわかっていても、不安が現れてしまう。
気付けば病室に看護師さんが来て、陸斗くんが事情を説明していた。
「とりあえず、出ましょう」
「う、うん」
陸斗くんに腕をひかれ、私は病室をあとにした。
それからしばらく、春斗の顔が、頭から離れなかった。

