少し時間が経ってから、私は病室に入った。
陸斗君がはっとして顔を伏せる。
多分、さっきの私と逆の状況。だから、何も聞かないで陸斗くんから少し視線を逸らす。
「春斗、りんごジュースだよ。
冷蔵庫にしまっておくからね」
ベッドの隣に置いてある冷蔵庫にりんごジュースを一本入れる。
「これ、陸斗君に。りんごジュース、飲めるよね?」
「あ、す、すいません!ありがとうございますっ」
バッグから財布を取り出し、お金を出そうとする陸斗くんを慌てて止める。
「私のおごりだから!お金はもらえませーん」
そう言って笑うと、陸斗君が申し訳なさそうな顔をした。
「兄ちゃんが……。男が奢られるのはださいって言ってたから。だから貰って下さい!」
『こういうのはしっかりしとかないといけねーんだよ!
大体男が奢られるなんてだせえだろ?』
一瞬、ほんとに一瞬。
陸斗君の姿が春斗に見えて、私の目からはらはらと涙がこぼれ落ちた。

