「....柔らかいね」
「....あ、」
唇をぷにぷに。優しく突っついてくる。
「....昨日のキス、気持ち良かった?」
「そん、なわけ」
楓くんはいつも甘いココアの香り。
ぼーっとする。香水みたい。
いやこれはもう最早、媚薬だ。
「....正直に言えよ、気持ち良かった?」
あ。昨日みたいに意地悪な楓くんだ。
ドキドキしてしまう。駄目なのに。
「い、わない....」
「じゃあ、キスしていい?」
甘い、ココアの香り、唇が、目の前。
「....だめ、」
「はは、表情は今にもして欲しいって顔してる」
そう言って、唇を奪う。
あぁ。またやってしまった。まただ。
本当に駄目だと分かっているのに。
駄目なことだって言い聞かせているのに。
どうして私は動けなくなってしまうのだろう。
