「....あ、蓮!」
「桜?どうした、わざわざ外に出て来て」


楓くんから、キスされた。迫られた。
なんてこと言えるはずも無くて。

私は無我夢中で部屋から飛び出しお兄さんにちょっとコンビニまで行ってきます!と口実を使って蓮に逢いに来た。だけ。


「あ、ちょっと、蓮お迎えに行こうかなぁと思って!」
「わざわざ?変な奴」
「えへへ....」

蓮に対する罪悪感が胸を敷き詰める。
ごめん。ごめんね、蓮。
さっき、どうして抵抗出来なかったんだろう。私は一体どうしちゃったんだろう。


「せっかくだから、その辺散歩でもするか?」
「あ、いいねっ!行こ?」
「俺のとっておきの場所、お前だけに教えてやるよ」
「とっておきの場所?」
「あぁ。大切な人にしか見せないって決めてんだ」


大切な人....。
婚約してるんだから、当たり前のことなのに。



なんだか、胸が痛くなるほど嬉しかった。