「お前その驚きかた、ないわー」
げんなりした表情をわざと見せる。
「あーびっくりした。そっちが驚かすからじゃんよぉー」
同じようにわざと嫌な顔をして見せる。
「わざわざ車降りて迎えに来てやったのに、んなブサイクな顔すんなよ」
とか言って笑ってるじゃん。かっこいい。なんちゃって。
「行くか、ほれ荷物やれや」
あ、荷物取られた。かっこいい。はぁ。
「いいよ!悪いから自分で持つっ!」
「うるせえなー少しは黙れば?ほら」
「あ、桃の天然水」
あたしの好きなものちゃんと分かってるのね。さっき触れた冷たい感触の正体はこれだったのか。なのに今ではほんのり熱い頬。
そしてさりげなく荷物持ってくれるのね。それからさりげなく肩を抱いてくれるのね。最後にさりげなく顔が近付いてきて
「あ..」
優しくて、良い香り。
「ん、うまい。」
「..ばか」
甘いキスをしてくれるのね。