「お兄さん、そろそろ帰ってくるって?」
「あぁ。車だからそんなかかんないだろ」


気付けば辺りは暗くなってお夕飯の時間。
もう夕方には作り終えておいたおかずを暖めに、エプロンをつけてリビングへと向かう。


ここのマンションは昔、家族みんなで暮らしていた実家だったみたい。
家族の引っ越しを機に蓮のおじいちゃん達がそのまま引き継いでたらしい。

でもおじいちゃん達は田舎に帰ることにしたらしく。
それでちょうど転居を考えていた蓮がそのまま此処に住み続けてるという。

蓮が就職している会社からもさほど遠くなくて都合も良いし、ちょうど良かったわ。とか言ってた。


でもそんなこと言いながらも、蓮は本当は家族皆の思い出の家を無くしたくなかったんだと思う。