雅はナイフを強く握りしめた。



「逃げろ、紫雪」




「いやだ、雅………。

私は…」




「紫雪、



…………………生きろ」






雅にそう言われ、私はゆっくり立ち上がり、雅を見つめた。



「雅……」



「逃げろ」



雅の姿はたくましくて、



まるで、幼い頃に憧れた、


あの王子様みたいに見えた。






「…………わかった」




私は走り出した。