手遅れだと思ったのはその時だ。 倒れた母さんの腰の辺りから足にかけて血の海ができていた。 小4の俺にも、それが何を示すかは理解できた。 "ねえ?お母さんのお腹の中にね、新しい赤ちゃんができたのよ" 呆然とした。 あの時の母さんの嬉しそうな顔を思い出す。 ああ、母さんや妹や俺の幸せは、 こいつに あっけなく 奪われたんだ。 切なさが……… 怒りが、 怨みが、 憎しみが、 俺の中から湧いて出てくる。