「私、いつかこんな人と結婚する!」 幼い私が指差したのは、 大好きな絵本に出てくる王子様。 私は、隣にいる同い年の男の子と話していた。 男の子は静かに私の話を聞いてくれた。 「強くて、優しくて、かっこいいの! 絶対こんな人と結婚する!」 少し興奮気味な私に、男の子は言った。 「いつか、僕もこんな王子様になって、紫雪ちゃんを迎えにいくよ。 もう引っ越しちゃうけど、いつか必ず、君を見つけるから」