―3月



香織は見事行きたい学校に受かった。






そして今日は合格証と卒業証書を手に先生に会いに行く。






病院の入口に入ると見覚えのある後ろ姿が見えた。




「先生…!」




「木下さん…」






「先生、あたし高校卒業してちゃんと大学決まったよ!ちゃんと自分の足で生きれるようになったよ!だから、だから…」






「わかってる。わかってるで。ほんとにおめでとさん。でも、いや、だからこそ先生はここにはもう来てほしくない。」





「どうして…?」




「ちゃんと前を向いて歩いてほしいから。」




「先生…ひどいよ…あたしの気持ち知ってるのに…」




香織の目には涙が溜まっていた。








直樹はそんな香織を抱き締めていた。




「ほんとは知ってる…でも…俺も好き…でも香織にはちゃんと一人前になってほしいから…今は一緒に居られない…」