びゅうびゅうと豊かな風の中で。
私たちはフェンスの外へ来た。
足元はあと数センチしかない。
それでも、互いの手を離そうとはしなかったし、フェンスの内への執着心も無かった。
「そうだ、ハナ。今日は曇りだけど、空の上は万年晴れだから、織姫と彦星は毎年会えているんだよ」
「ええっ。それなんかズルい」
「いいじゃん。これからはずっと一緒に居れるんだから」
「……そうだね。そうだよね。ずっと一緒だよね」
「そうだよ。ずっと一緒に溺れているんだ。あの天の川の中で」
それはすごく、幸せなことだと思った。
最期に一度だけ、甲斐田は私にキスをした。
砂糖の甘い匂いと一緒にかすめたのは、湿った水の匂い。
それはきっと、天の川の匂い。
end…
私たちはフェンスの外へ来た。
足元はあと数センチしかない。
それでも、互いの手を離そうとはしなかったし、フェンスの内への執着心も無かった。
「そうだ、ハナ。今日は曇りだけど、空の上は万年晴れだから、織姫と彦星は毎年会えているんだよ」
「ええっ。それなんかズルい」
「いいじゃん。これからはずっと一緒に居れるんだから」
「……そうだね。そうだよね。ずっと一緒だよね」
「そうだよ。ずっと一緒に溺れているんだ。あの天の川の中で」
それはすごく、幸せなことだと思った。
最期に一度だけ、甲斐田は私にキスをした。
砂糖の甘い匂いと一緒にかすめたのは、湿った水の匂い。
それはきっと、天の川の匂い。
end…

