2人きりで沈黙が続く。

 「……さよ…ごめんな……」

 沈黙を破りこうたが私を抱きしめた。
  
 こうたは砂と血の匂いがして、なぜか涙が出て来た。

 「怖かったよな……また……おれのせいでさよを泣かしたな……」
 
 違う……違うのに……声がでない。

 怖かったのか…

 それとも

 そう思っていたのか…

 「さよ……ごめんな……こんなこと本当はやだけど…」

 こうたがなにを言い出すか全くわからなかった。

 「……別れよっか…」

 ズキ。

 胸が痛んだ。

 別れよう、

 そう言われるとこんなに苦しいんだ。

 あれ?
 
 やだって言えばいいじゃん。

 泣き叫べばいいじゃん。

 だだこねればいいじゃん。

 なんでしないの?

 あー
 
 そっか。

 怖かったんだ。

 怖くて怖くて……

 いつの間にかたえきれなくなったんだ。

 もっと素直になればよかった。

 もっともっと……

 「……うぅっ……」

 私は泣きながら頷いた。

 こうたは私を抱きしめながら頭を撫でてくれる。

 「さよ…ごめんな……ゆっくり考える。……もう一度……必ず…むかえに行くから。」

 私たちはそのまま一時間そこにいた。

 最後ぐらい。

 いいよね?

 私たちはお別れのキスをして、2人で別々の道を進んだ。

 あ、あの日みたい。

 私たちが小さい頃もこんな感じだったよね?

 私は泣きながら家に帰った。

 こうたが好きだった。

 大好きで仕方がなかった。

 でもねしょうがないことなんだよね?

 しっかり考えてね?

 待ってるから。

 バイバイ私の初恋。

 でもきっとまた戻れるってしんじてるから。

 私の涙は綺麗だったようにおもえた。