かなみside

 さよがあの先輩のもとへ行った。

 多分、両想いだろうね。

 いいな……

 そんなことを考えていると

 「あ、あの。」

 声をかけられた。

 「はい?」

 振り返るとそこにはイケメンでスラリと高い身長の先輩が立っていた。

 「なにか?」

 私は用件を聞いた。

 「俺は並北隼人っていいます。実は俺かなみさんのことが好きになりました。付き合って下さい。」

 いきなりの告白。

 隼人先輩のこえは少しふるえていた。

 私も少し驚いた。

 でも、答えは決まっている。

 「恋というものがいまいちよくわからないので、ごめんなさい。隼人先輩ならほかにも」

 「じゃあ俺がかなみさんに恋を教えます」

 私が言い終わる前に隼人先輩が口を開いた。

 「無理です。私が心を許せるのはさよ……1人しかいませんから。」

 「それなら俺はかなみさんが心を許してくれるまで待ちます。」

 隼人先輩はあきらめない。

 「無理って言ってるでしょ!!もうトラウマなの……あっ……」

 その瞬間、私は隼人先輩に抱きしめられた。

 「トラウマになった理由。今までの全て……俺にはなしてくれる?」
  
 隼人先輩はとても優しく切ない声で囁く。

 隼人先輩なら話せる。

 なぜかわからないけどそんなことが頭をよぎる。

 私、今日知り合った人に心許し始めてる……

 「……わかりました……」

 私は隼人先輩に全てを話した。

 隼人先輩は表情を変えず真剣に聞いてくれた。

 途中泣いてしまった私の背中や頭をポンポンしてくれていた。

 そこにも隼人先輩の優しさを感じられた。

 「……俺……絶対そんなことしない。絶対かなみさんを大切にするから……」

 隼人先輩の声はとても私の心に響く。

 隼人先輩なら大丈夫。

 私は心を許していた。

 「……隼人先輩……私、隼人先輩なら大丈夫……かも」

 「えっ。」

 隼人先輩は私から体をはなし目を見開いた。

 「俺…ばかでアホで何もできないけど……俺でいいの?」
  
 告白してきたのは隼人先輩なのになぜか不安になっている隼人先輩。

 この人なら大丈夫だね。

 「うん……隼人先輩なら……好きになれる。」

 そういうと隼人先輩は思いっきり私を抱きしめた。

 苦しかったけどとても安心できた。

 さよ……

 私、さよ以外にも心を許せる人ができたよ…