「…ン……。…アレン。授業終わったよ。」

はっと振り返ると、身支度を済ませた少女が不思議そうな顔をして僕を待っていた。

「ああ、ごめんハルル。」
「どうしたの?考え事?」
手早くカバンに教科書やノートを詰め込み、椅子を元に戻す。
「んーまあそんなとこ。」
「さ、行こ!」

スキップをしだす勢いでハルルは駆け出す。ブロンドの髪を靡かせ、空色のズボンを翻しながら。

「今日は御神木の枯れ根を降りたトコだって。」
「うわぁ…遠いな、軽く20分くらい歩くぞ」
「まあまあのんびり行きましょ。」

ハルルが後ろ歩きをしながらにこにこと言う。
人工はもう300人程度まで減っているから色々と人手が足りない。
そこで学生…15歳から男は学校の後仕事に借り出され、16歳から女は家の家事を切り盛りすることになる。
それにしても、今回かなり珍しい。
「ハルル、お前今回女と間違われなかったのな。」
「ん?今失礼な発言が聞こえたなぁ。ったく。」
長いブロンドの髪を結びなおしながら、ハルルは頬を膨らました。
「だって目は大きいし、整ってるし、声はそんなに低くないし…オマケに」
「背が低い、だろ?もういちいち気にしてること言うなっつーの!」
ハルルはその外見のせいで、なかなかの確立で家事担当の仕事に借り出されることが多い。
そのたびに僕は男だと説明をしなければならない。
いわば面倒ごとに巻き込まれる奴なのだ。
「アレンはいいよなー。身長そこそこあって、髪は黒で!俺もそんな髪型にしたかったぁ」
「ほらさっさと行くぞ。」
「うぃーす」

しばらく公道を歩き、運河を横目にしながら遥か上の天井から生えている枯れ根を伝い、地下へとさらに降りていく。
「やっば、手になんかついた!」これは僕。
「アレンすごいぞ、半分ほど出来てる!!」これはハルル。

今日の僕らの仕事は、工事現場のお手伝いだった。