この天井の上には限りなく続く“ソラ"というものが広がっているらしい。
黒板に次々と書かれていく想像でしかない“上の世界"のことを先生は説明をしていく。
色鮮やかなシゼンというものが存在し、僕らの住む下の世界とは違う人工的な風じゃないカゼが吹いているそうだ。

ただ先生はこう告げる。
「私達は陽の光いうものに当たると、死んでしまうのです。」



憲法第1条、陽の元に出るべからず。

僕らの生まれるうんと昔に、大気汚染や温暖化が進み、人が住む場所は徐々に無くなっていった。
海は干上がり、氷は溶け、森は枯れた。
そんななか、人々を束ねた王はこういったそうだ。

「私達は過ちを犯した。しかし、償うためには生き残らねばならない。それが傲慢な偽善でも、滅びるより罪を償っていこう。地下で暮らし、来たるべき日に備え、生きてゆくのだ。」


こうして地下で暮らすうちに、人々は失敗したことに気づいた。
突然変異で、人工の弱い日の光しかださない太陽の力は、彼らの皮膚の力を弱めていったのだ。
地上の光は、僕達にとって強すぎるのだ。

こうしてこの掟ができ、外への夢を断ったのである。